58年の歴史に幕を閉じた「西武渋谷店」と、交差するセゾンの記憶

2026年9月30日、渋谷の街を長年見つめてきた「西武渋谷店」が、58年の歴史に静かに幕を下ろしました。

1968年4月19日の開業以来、ファッション、アート、カルチャーの発信拠点として時代とともに歩んできた西武渋谷店。

その歴史をたどると、堤康次郎が築いた「西武」の事業、そして堤清二が展開した流通・文化事業へとつながります。さらに、その流れから生まれた西友やLIVINなどにも、現在の私たちが知る「西武」の歴史の一面を見ることができます。

なぜ、西武渋谷店は渋谷の街で特別な存在となったのでしょうか。

創業者からセゾン文化、そして2026年の閉店まで、その歴史を振り返ります。

原点は堤康次郎、そして堤清二が広げた「西武」の世界

Wikipediaより引用。

現在の「西武」につながる大きな源流をつくったのが、鉄道や不動産などの事業を手がけた堤康次郎です。

堤康次郎の事業を背景に、1940年3月には「武蔵野デパート」が開業。1949年4月には「西武百貨店」へと社名を変更しました。

Wikipediaより引用。

その後、西武百貨店の経営に携わったのが、康次郎の息子である堤清二です。

清二は百貨店を単に商品を販売する場所としてだけではなく、ファッション、芸術、演劇などを含めた文化を発信する場へと展開していきました。

Wikipediaより引用。

その象徴の一つとなったのが、1973年に開業した渋谷PARCOです。

館内には西武劇場が設けられ、1975年には西武美術館も開館。商業施設の中に演劇や美術などの文化を取り込み、ファッションとカルチャーを組み合わせた独自の街づくりが進められました。

こうした取り組みは、後に「セゾン文化」と呼ばれるようになります。

西友も「西武」から生まれた

「西武」の歴史を振り返ると、現在の西友にもつながっていきます。

西友のルーツの一つとなったのが、1956年に誕生した「西武ストアー」です。

西武百貨店の食品スーパー部門を母体とする流れの中で、1963年には「西友ストアー」が設立され、1983年に「株式会社西友」へと社名を変更しました。

その後、西友はスーパーマーケット事業を中心に成長。1980年にはプライベートブランドとして「無印良品」も誕生しています。

さらに、西友が展開してきた大型店ブランドの一つが「LIVIN(リヴィン)」です。

現在では西武百貨店と西友は別の企業ですが、その歴史をたどると、かつての「西武」から広がった流通事業の系譜を見ることができます。

こうした「西武」の流れが、百貨店だけでなく、スーパー、ファッション、文化などへ広がっていったことも、この歴史の特徴です。

1968年、渋谷に「西武」が登場

Wikipediaより引用。

そんな時代の1968年4月19日、渋谷に西武渋谷店が開店しました。

渋谷PARCOが開業する5年前です。

西武渋谷店は、海外ブランドをいち早く紹介したほか、日本人デザイナーのファッションなども積極的に取り上げ、1980年代のDCブランドブームをはじめ、渋谷の若者文化と深く関わっていきました。

西武渋谷店は、単に商品を販売する百貨店というだけではなく、ファッションやアートなどを通じて時代の空気を発信する場所でもありました。

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渋谷PARCOなどとともに、渋谷がファッションやカルチャーの街として発展していく中で、その一角を担った存在だったといえます。

スクランブル交差点から宇田川町へ向かう途中にあるA館・B館の建物、両館をつなぐ連絡橋、大きなショーウインドーなども、長年渋谷を訪れる人たちに親しまれてきた風景です。

かつては屋上遊園地もあり、買い物だけではなく、家族で訪れる場所としての一面もありました。

渋谷の街とともに変化した58年

1968年の開店から2026年までの58年間、渋谷の街は大きく変わりました。

ファッションの流行も、百貨店を取り巻く環境も変化する中で、西武渋谷店も時代に合わせて売場や取り扱うブランドを変えてきました。

閉店時にも、B館4階にはヨウジヤマモトなどのファッションブランドが並び、最後までファッションの街・渋谷を象徴する存在の一つでした。

一方で、周辺には新しい商業施設や飲食店が次々と生まれ、渋谷そのものの街並みも大きく変化しています。

そんな中でも、西武渋谷店は長く宇田川町の風景の一部であり続けました。

閉店を前に「#シブヤノオモイデ写真展」

HPより引用。

閉店を前に、西武渋谷店では「#シブヤノオモイデ写真展」が開催されました。

展示では、1968年の開店当時から現在までの写真を通じて、西武渋谷店の歴史を振り返りました。

開業当時の外観やエントランス、売場、館内イベントなどの写真が紹介され、58年間の変化を見ることができる展示となっていました。

さらに、来店客から西武渋谷店との思い出や写真を募る企画も実施。

集まった写真やメッセージはショーウインドーにも展示され、店側が残してきた歴史だけではなく、実際にこの場所を訪れてきた人たちの記憶も、閉店を前にした店内を飾りました。

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長年買い物をしてきた人、家族と訪れた人、若いころに渋谷を歩いた人。

それぞれの思い出が、最後の西武渋谷店の風景に加わることになりました。

2026年9月30日、最後の営業

Xより引用。

そして2026年9月30日。

西武渋谷店は、A館・B館ともに午後8時で営業を終了しました。

閉店セレモニーは行われませんでしたが、最終日には開店前から多くの人が訪れ、最後の営業を見届けました。

1968年4月19日の開店から約58年。

ファッションやアート、カルチャーを発信しながら渋谷の街とともに歩んできた西武渋谷店は、2026年9月30日を最後に、その営業を終えました。

Xより引用。

この記事を書いた人

なりチャン

なりますチャンネルは、成増をベースに東京の城北エリア(板橋・練馬)の地域情報を地元目線でリアルタイムにお届けしていきます✉「子どもたちが地域の方々と触れあい、地域をもっと好きになってほしい」という想いで2022年頃に始めました。月間55万PV(2026年1月)。