東京都練馬区が進めている「練馬区立美術館・貫井図書館」の再整備計画が、大きな転換点を迎えています。当初の見積もりから建設費が2倍以上に跳ね上がり、さらに12年間区政を担ってきた前川燿男区長が次期選挙への不出馬を表明したことで、計画の是非を巡る議論が再燃しています。

整備費は当初の76億円から「150億円超」へ


2026年1月22日、前川区長は新年度予算案の発表会見で、同施設の再整備費が150億〜160億円に上振れする見通しを明らかにしました。

1985年に開館した同施設は、老朽化に伴い「アートの街」の拠点として地上5階・地下1階の複合施設へ建て替えられる予定でした。しかし、当初の見積もり(76億円)から、2025年時点の試算(109億円)を経て、最終的に倍以上のコストがかかることが判明。資材高騰や深刻な人手不足が、区の財政を直撃しています。
「解体工事見送り」と強まる批判

区は2025年9月、事業者確保が困難であることを理由に、2026年度に予定していた着工の延期(当面の解体見送り)を発表しました。施設は現在も開館を継続していますが、2026年度予算案には依然として「機運醸成」の名目で約2,300万円が計上されています。


これに対し、区民からは厳しい声が上がっています。
- コストへの疑問: 「150億円もの巨費を投じる価値があるのか」「物価高の中で優先順位が違う」という批判。
- 対話不足: クラウドファンディングで約220万円の寄付を集めた経緯もあり、当初の構想と現実の乖離に戸惑う支援者も少なくありません。

前川区長の不出馬表明——次期区長選が「審判」の場に

こうした混乱の中、前川区長は2026年1月9日、任期満了に伴う4月の区長選に立候補せず、今期限りで退任する意向を表明しました。「次の世代に区政を譲る」とした今回の決断は、事実上の「ハコモノ計画」の停滞を反映しているとの見方もあります。
今後の展望:計画は白紙か、継続か

都内では中野サンプラザや目黒区民センターなど、資材高騰による公共施設の計画中止・見直しが相次いでいます。

練馬区においても、この巨大プロジェクトを「負の遺産」にするのか、あるいは持続可能な形で修正するのか。4月の区長選は、美術館の再整備計画に対する区民の判断を示す一つの場になるのかもしれません。
| 名称 | 練馬区立美術館 |
| 住所 | 〒176-0021 東京都練馬区貫井1丁目36−16 |
| 開館時間 | 10時00分~18時00分 ※現在、展示は行われていない。 |
| 電話番号 | 0335771821 |
| リンク | https://www.neribun.or.jp/museum.html |

