東武東上線大山駅周辺で進められてきた大規模再開発において、「クロス大山」と称される複数のビルが2024年12月に竣工し、街の様子が大きく変化しています。都内随一の560メートルを誇るアーケードが分断され、タワーマンションが建設されていました。再開発により変わりゆくハッピーロード大山を歩いてきました。


ハッピーロード大山と再開発

まずは東武東上線大山駅からスタートです。改札脇には文殊さんが出店されています(成増駅の改札の内側に文殊さんが出店されているので親近感を抱いてしまいます)。

こちらの踏切は区役所や文化会館方面からハッピーロードに入る際に渡る踏切になりますが、2030年度をめどに高架化が予定されており、今の姿を見れるのはあと数年となっています。
東武東上線大山駅付近の連続立体交差事業(高架化)は、2022年7月28日に東京都と東武鉄道が施行協定を締結し、事業に着手しました。事業期間は、2021年12月20日から2031年3月31日までを予定しており、2030年度の完成を目指しています。東武東上線の下板橋駅から中板橋駅間の約1.6kmの区間が対象となります。


ハッピーロード大山を歩いていきます。ハッピーロードができたのは1978年のことで、全長560メートルは東京屈指の長さを誇ります。板橋区の小学校ではかつてはハッピーロード商店街の勉強をしていた記憶があります(今もするのかな)。
元々、大山駅に近い「大山銀座商店街振興組合」と、川越街道に近い「協同組合大山銀座美観街」という二つの商店街が存在していました。 1970年代に入り、近隣の池袋にサンシャインシティがオープンするなど、大型商業施設の進出により顧客を奪われることへの危機感を抱きました。 また、商店街を通る都道補助第26号線(東京都道420号)の拡幅計画が持ち上がったことも、合併の大きなきっかけとなります。
これらの背景から、1977年(昭和52年)3月に二つの商店街が合併し、1978年(昭和53年)4月には念願のアーケードが完成しました。この時に「ハッピーロード」という愛称が公募で決定し、「幸せに続くなが~い屋根」というキャッチフレーズが生まれました。


以前は560メートル続いていたのですが、なんと川越街道に出る前に空が見えています。
2024年4月からアーケードの一部解体工事が始まり、特に商店街の中心部分、新しく建設されたタワーマンション「クロス大山」(シティタワーズ板橋大山ノースタワー/サウスタワーなど)に挟まれたエリアのアーケード約70mが撤去されています。これにより、45年以上雨風から買い物客を守ってきた「幸せに続くなが~い屋根」が途切れ、空が見える状態になっています。
※今後、都道補助第26号線の延伸計画に伴い、ハッピーロード大山商店街の全長約560メートルのうち、最終的には約3分の1にあたる約180メートルが解体される予定とされています。
クロス大山





こちらが大山クロスで最も高い「大山クロスSOUTH」です。
「クロス大山」は、東武東上線大山駅周辺で進められてきた大規模再開発「大山町クロスポイント周辺地区第一種市街地再開発事業」によって誕生しました。クロス大山は、4つの街区で構成される複合施設です。
A街区:シティタワーズ板橋大山サウスタワー | 地上26階建てのタワーマンションで、住居239戸と店舗が入居しています。2025年4月24日には、1・2階にマルエツ クロス大山店がオープンしました。 |
B街区:クロス大山レジデンスウエスト | 地上8階建てで、住居18戸のほか、店舗と保育園が入居しています。 |
C街区:クロス大山アイランド | 地上4階建てで、主に店舗が入居しています。 |
D街区:シティタワーズ板橋大山ノースタワー | 地上25階建てのタワーマンションで、住居88戸と店舗が入居しています。 |


こちらが主に住居となる大山クロスNORTH25階建て88戸ですね。


こちらがクロス大山アイランドで4階建ての建物で3階までは「ミント歯科矯正歯科大山」がテナント入っています。


こちらはクロス大山WESTで8階建てとなり、3階までがテナントで上階は住居となります。1階には「らくらく筋トレMAX3大山店」が、2,3階には「にじいろ保育園」が入居しております。

WESTとISLANDの間にスペースがあり、自転車が走行できる青い車線が用意されていますが、ここは将来的には補助第26号線が通る予定です。
都道補助第26号線は、品川区東大井一丁目から板橋区氷川町に至る全長約22.35kmの都市計画道路です。東京都が整備を進めています。広域的な道路ネットワークを形成し、都市の骨格を形成する幹線道路としての役割を担います。災害時の避難路や延焼遮断帯としての機能も期待されています。


ハッピーロード商店街を川越街道へ


クロス大山で分断されたハッピーロード商店街のアーケードを進んでいくと、コモディ―イイダがあり、「再開発反対!!」の文字が見えます。コモディイイダは、飯田社長自らが反対活動の先頭をきって活動されており、マスコミでも何度も取り上げられていました。ただ、結果的には再開発の波を止めることはできず、この地も「ピッコロ・スクエア周辺地区」として再開発の対象となっています。
「ピッコロスクエア」は、東武東上線大山駅の西側、ハッピーロード大山商店街の西端に位置するエリアで進められている再開発事業の名称です。この再開発事業は、「大山町ピッコロ・スクエア周辺地区第一種市街地再開発事業」と呼ばれ、約1.3ヘクタールの区域を対象としています。以下の2棟のタワーマンションが建設予定となります。
A街区: 地上28階、地下1階、高さ107mのタワーマンション。住宅(約320戸)、店舗、駐車場が含まれます。
B街区: 地上28階、地下1階、高さ107mのタワーマンション。住宅(約260戸)、店舗、駐車場が含まれます。




少しずつ再開発に向けた用地買収が進んでいるのか、シャッターが下りている店舗が多く見受けられます。
最後に

現在、東武東上線大山駅付近の連続立体交差事業(高架化)や「大山町クロスポイント周辺地区第一種市街地再開発事業」など、大規模な再開発が進行中です。 これにより、ハッピーロード大山商店街の一部アーケードが解体されるなど、景観や商店街のあり方に大きな変化が訪れています。
今回はハッピーロード大山を歩きながら、再開発に伴い変化する街の様子を見てきました。クロス大山の竣工に伴う、ハッピーロード大山商店街の都内随一といわれた560メートルのアーケード解体は、単なる物理的な構造物の撤去にとどまらず、地域の歴史や文化、そして人々の暮らしに大きな影響を与える出来事だと感じました。
ハッピーロード大山を含め、戦後の高度成長期にできた建築物については、築年数が半世紀に近づき、建て替えの時期にきているものが多くあると思いますが、地域に住まい、地域を守ってこられた方々の想いも大切にしながら、新しい時代に街をつなげていくのは難しいことであり、また、とても大切なことだと感じました。