神保町といえば「カレーの街」として有名ですが、その歴史を語る上で欠かせない一軒の「原点」が、板橋区・西台(高島平エリア)にあります。

2026年1月、カレー好きの間で伝説として語り継がれる名店「欧風カレー インディラ」を訪れました。ここは、日本独自の「欧風カレー」というジャンルが生まれた、いわば聖地です。

欧風カレーの生みの親「村田紘一氏」とインディラ

なぜ、ここが「伝説」と呼ばれるのか。それは、欧風カレーの開祖・村田紘一氏が、この地でその技法を確立したからです。

村田氏はフランスでの修行中、現地のフォンドボーやスパイス技法を学び、それを日本人の口に合うよう試行錯誤を重ねてアレンジしました。村田家による家族経営でスタートしたインディラには、若き日の村田氏も厨房に立っており、そこで今の欧風カレーの「型」が創り上げられました。

- 銀のソースボート(ポット)
- 前菜の蒸しジャガイモ
- チーズがトッピングされたバターブイヨンライス
今では当たり前となったこれらのスタイルは、すべてここインディラでの試行錯誤から始まったのです。その後、昭和48年に神保町「古書センタービル」のオーナーに誘われ、村田氏が新たにオープンさせたのが、あの超有名店「ボンディ」。つまり、神保町カレー文化の源流は、ここインディラにあります。
カレーマニア激震。伝説の名店「ペルソナ」が高島平へ

今、東京のカレーマニアの間で最大のトピックとなっているのが、2026年1月14日にオープンした「ペルソナ」の再始動です。

かつて神保町カレー御三家の一角として君臨したペルソナは、2019年に惜しまれつつ閉店しましたが、復活の地として選んだのは、なんとインディラと同じ高島平1丁目でした。
神保町で生まれ、神保町を象徴した「ペルソナ」が、欧風カレーの始祖である「インディラ」と同じエリアに集結した。この歴史的な合流により、2026年1月、高島平は全国のカレーファンが無視できない「真の聖地」へと変貌を遂げています。
著名人もお忍びで通う、板橋の至宝

店内には、ピース又吉さん、菜々緒さん、小日向文世さんといった著名な方々のサインがずらりと並びます。都心から離れた高島平まで、プライベートでわざわざ足を運ぶ方が多いという事実に、この店の「代えのきかない価値」が裏付けられています。

現在は創業家からオーナーは変わっていますが、半世紀以上にわたりその製法と魂は大切に守り抜かれています(現在はボンディの支店という位置づけになっています)。
実食レポート:一番人気「ビーフカレー」の深い味わい

メニューは、ビーフ、ポーク、チキン、チーズ、ボンゴレ・シーフードの5種類(各1,700円)。今回は店員さんおすすめのビーフカレーをいただきました。

儀式のような「蒸しポテト」

注文すると、すぐにホクホクの蒸しジャガイモが運ばれてきます。当時はまだ刺激的だったカレーの辛さを和らげるための知恵だそうですが、これこそが欧風カレーの「序奏」です。
歴史が溶け込んだ漆黒のルー

続いて、チーズの香りが漂うライスと、銀のポットになみなみと注がれたルーが登場。

- 一口目の衝撃: スパイスの複雑な香りが広がり、続いてフォンドボーの奥深いコクが追いかけてきます。
- ほろほろの牛肉: ゴロゴロと入ったお肉は、スプーンで簡単に切れるほど柔らか。
- 味の変化: 中辛でもしっかりとしたスパイシーさがありますが、ジャガイモを崩して混ぜると、驚くほどマイルドに。50年前、村田氏がたどり着いた「黄金比」を全身で感じることができます。

スタッフの愛に支えられた「変わらない味」

今回印象的だったのは、店員さんとの会話です。 インディラはスタッフの定着率が非常に高く、高校生から働き始めて数十年という方も珍しくないそうです。中には40年近くこの厨房を守り続けた方もいらっしゃるとのこと。

この「スタッフに愛される環境」こそが、オーナーが変わっても味がブレず、半世紀もの間ファンを惹きつけ続ける一番の秘訣なのかもしれません。
訪問を終えて

インディラは、単においしいカレーを提供する場所ではなく、日本の食文化の一端を学べる「生きた博物館」のようでした。神保町のボンディに魅了された方こそ、ぜひ一度その「ルーツ」である西台のインディラを訪れてみてください。

そこには、歴史という最高のスパイスが効いた、格別のカレーが待っています。
欧風カレーインディラ

| 店名 | 欧風カレー インディラ |
| 創業 | 1971年頃 |
| 住所 | 〒175-0082 東京都板橋区高島平1丁目74−10 日東ビル |
| 電話番号 | 0339368969 |
| 営業時間 | 木曜日、11時00分~20時00分 |
| 休業日 | 火曜日 |




