

板橋の風景を象徴するランドマーク、西台団地(都営西台アパート)。 都営三田線の西台駅を降りると目に飛び込んでくるあの巨大な壁のような姿は、初めて見る人に強いインパクトを与えます。

ネットでは「ラピュタ」や「軍艦島」とも形容されるこの場所には、都市開発の歴史と驚きの構造が隠されています。
■ 操車場の上に浮かぶ「要塞」の正体

西台団地の最大の特徴は、「都営三田線・志村車両検修場(操車場)」の真上に建っていることです。


高度経済成長期、急増する住宅需要に応えるための画期的な策として、広大な操車場の上に巨大な人工地盤を築き、14階建ての住宅棟(5〜8号棟)を建設しました。

1番線から16番線までの線路が団地の下にすっぽりと収まっている光景は、当時の都市設計の熱量を感じさせます。

■ かつて存在した「天空の小学校」高島第四小学校

この人工地盤の上にあったのは、住居だけではありません。かつては「板橋区立高島第四小学校」という、全国的にも極めて珍しい環境の学校が存在していました。
- 開校: 昭和49年(1974年)
- 立地: 人工地盤の上(校舎、校庭、プール完備)

まさに「天空の小学校」と呼ぶにふさわしい場所でした。地元では、「校庭を傘で思い切り突つくと、下の操車場が見えた」という、この立地ならではのユニークなエピソードも語り継がれています。 しかし、少子高齢化の影響により、平成14年(2002年)に28年という短い歴史に幕を閉じました。
■ 2026年3月、現在の姿を訪ねて


今、小学校の跡地を訪れると、そこは広大な駐車場になっています。 当時の面影を探すと、プール跡地と思われる場所にある「水色の塗料」が、かすかにあの日子供たちが活動していた記憶を繋ぎ止めているかのようです。

隣接する「東京都交通局志村寮」でも4号棟が解体されるなど、周辺の風景は少しずつ変化し続けています。
■ 変わりゆく高島平・西台エリア

高島平2丁目界隈では再開発の議論が進んでいますが、西台団地は操車場の上という特殊な構造ゆえに、今後の維持やあり方には独自の議論が必要になるかもしれません。

見慣れた地元の光景も、視点を変えれば日本の成長期を支えた驚異的な建築物です。散歩のついでに、かつてそこにあった「天空の小学校」の活気に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。






