【としまえん】過去と未来が交差する「練馬城址公園」オープンハウス訪問記 — 歴史・自然・水辺がつながる憩いの場へ

初日に雨が降るなか、豊島園駅前へ

練馬城址公園のオープンハウスが開催されると知り、豊島園駅前へ足を運んだ。

あいにく初日は雨だったが、会場では職員の方から、公園の整備計画だけでなく、この場所が歩んできた豊島園の歴史についても非常に丁寧で熱のこもった解説を聞くことができた。

公園の未来について話を聞くつもりで訪れたが、思いがけず、この土地に刻まれた長い歴史と、そこに暮らす人々の記憶に触れる時間となった。

中世の城郭から一大レジャーランドへ

この土地の歴史は、江戸時代よりもはるか昔、中世まで遡る。

  • 練馬城の時代:14世紀ごろから石神井川沿いに勢力を広げた豊島氏の城館の一つとされる。練馬城は、石神井川の急崖や浸食谷などの自然地形を利用して築かれた。1477年(文明9年)、太田道灌勢との合戦で石神井城と同じ頃に落城したものと考えられている。昭和63年の発掘調査では空堀が確認されており、現在、練馬城跡は東京都指定旧跡となっている。
  • としまえんの開業と発展:1926年(大正15年)、「練馬城址豊島園」として開園。懸垂型モノレール「空飛ぶ電車」や、世界初の「流れるプール」、機械遺産となった回転木馬「カルーセル エルドラド」、巨大ウォータースライダー「ハイドロポリス」など、時代を象徴する乗り物や設備で親しまれた。

そして1957年(昭和32年)には、としまえんを含む一帯約26.7ヘクタールが都市計画公園「練馬城址公園」に決定された。

その後、東京都による公園整備が進められ、2020年8月31日、としまえんは94年の歴史に幕を下ろした。

長い年月を振り返ると、この場所は「城跡」から「遊園地」へ、そして今度は「公園」へと、その姿を大きく変えながら受け継がれてきたことが分かる。

プール跡地に残る思い出と、未来への景色

現在、練馬城址公園は段階的な整備が進められている。

今回のオープンハウスでは、旧としまえんのプール跡地を含む今後の整備についても説明を聞くことができた。

現地をよく見ると、あちこちにプール時代の名残が残されている。

  • ウォータースライダー跡地:練馬城跡の歴史を伝えるエリアとして整備され、噴水などを設ける計画となっている。
  • 25mプール跡地:子どもたちが楽しめる水遊び場として整備される計画だという。
  • 波のプール跡地:将来的には池など、水辺を生かした憩いの空間として整備される予定だ。
  • シンボルのヤシの木:かつてプールサイドを彩っていたヤシの木はそのまま残され、新しい広場のシンボルツリーとして、これからもこの場所を見守っていく。

かつての面影が随所に活かされており、遊園地時代の思い出と、新しい公園の姿が美しく交差している。

井戸も整備される予定。としまえんのプールが冷たかったのは、井戸水が関係しているらしい。

「すべてを壊して新しくする」のではなく、そこにあったものや、人々の記憶を受け継ぎながら新しい場所をつくっていく。

水景施設もできるようです。

そんな公園づくりに、この場所ならではの魅力を感じた。

歴史と想いをつなぐ場所を目指して

練馬城址公園は、長い時間をかけて段階的に整備が進められている。

東京都の計画では、令和11年度(2029年度)には、ほぼ全域が利用できる「概成」を目指している。

もちろん、公園整備にはさまざまな課題があり、昨今は建設工事の入札不調などもニュースで見かける。

城址の発掘作業が。

だからこそ、この土地が持つ豊かな歴史と、長年ここを愛してきた人々の思い出に寄り添いながら、情熱を持って工事を引き受けてくれる施工者に恵まれることを願ってやまない。

中世には城があり、昭和・平成には多くの人を楽しませた遊園地があり、そしてこれからは、地域の人々が集う公園へ。

歴史、自然、水辺がつながる「みんなの公園」として、この場所がどんな姿に育っていくのか。

かつてのとしまえんを知る人にとっても、これからこの場所を訪れる人にとっても、過去と未来が交差する場所になっていくことを期待したい。

素敵な公園へと育っていく姿を、これからも見守っていきたい。

おまけ としまえん跡地とハリー・ポッター

としまえん跡地には、2023年6月、「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が開業した。

実は、この施設には「30年」という時間が設定されている。

東京都と西武鉄道、ワーナー・ブラザースなどの関係者が2020年に締結した覚書では、練馬城址公園の整備を段階的に進める一方、その計画区域の一部にスタジオツアー施設を設置することとし、施設の運営期間は30年間とされた。

そして、30年間の運営終了後には、その土地を都立公園として整備していくことが定められている。

この記事を書いた人

なりチャン

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