【現地ルポ】旧川越街道の商店街で「頭上注意」――老朽建築物の外壁落下リスクと自治体の対策

歴史ある街道の面影を残す商店街を歩いていると、突如として安全対策のコーンと警告文が目を引く。

かつて旧川越街道の宿場町「下練馬宿」として賑わった練馬区北町の商店街。

その一角で、建物の外壁材などが落下するおそれがあるとして、車道にもまたがるように大きな広がりをもってカラーコーンが並べられ、「頭上注意」と書かれた注意書きが掲示されている。

よく見ると店舗のテント屋根が変形し、その付近の外壁材が剥落して内部の鉄筋が露出している。窓枠を支える部分も傷みが進んでいるように見受けられる。

コーンに添えられた貼り紙には、こう記されている。

頭上注意

外壁材などが落下する恐れがあります。通行の際は頭上に注意してください

練馬区 建築・開発担当部 建築課

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練馬区では、外壁などが道路に落下するおそれがある建物について、相談や連絡の窓口を設けて対応にあたっている。今回の現場における通行者への注意喚起は、私たちが日常的に行き交う街の中で、老朽建築物がもたらすリスクを身近に実感させる光景だ。

近隣で起きた建築物の事故

建築物の老朽化や維持管理をめぐるリスクは、こうした注意喚起の現場にとどまらない。

近隣の板橋区では、2023年7月、赤塚のアパートで2階の外廊下が崩落し、引っ越し作業中だった男女2人が転落して負傷する事故が発生した。報道によると、建物は築約50年とみられている。

こうした事故や老朽化の進行を背景に、自治体側でも安全確保や管理不全への対応に向けた施策の強化が進められている。

2026年度、自治体が推進する老朽建築物・空き家対策

周辺自治体では、空き家のみならず老朽建築物全般を見据えた計画の策定や運用が動き出している。

■ 板橋区:「板橋区老朽建築物等対策計画2035」

板橋区では、2026年度から2035年度までの10年間を計画期間とする「板橋区老朽建築物等対策計画2035(空家等対策計画)」を運用している。

本計画の大きな特徴は、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく空き家だけでなく、居住者のいる老朽建築物についても区の条例等に基づき対応対象としている点だ。

  • 予防・啓発
  • 適切な管理の促進
  • 除却の促進

老朽化から管理不全、外壁落下や倒壊などの危険の発生、そして除却に至るまで、一体的な対応を目指す整理がなされている。

■ 練馬区:「練馬区空き家等対策計画」と地域の取り組み

練馬区においても、2026年4月に新しい「練馬区空き家等対策計画」を策定。管理不全状態にある空き家等の発生予防、所有者による適正管理、除却・建替えなどを推進している。

さらに練馬区では、田柄地区において「空家等活用促進区域」を指定する取り組みを行っている。同地区に存在する建築基準法上の道路に接していない「不接道空き家」など、建替えが困難だった物件に対し、一定の要件のもとで建替えを可能にすることで、危険の解消と防災性の向上を図るアプローチだ。

歴史ある街並みとどう向き合うか

街道の歴史とともに歩んできた建物や街並みを維持しながら、そこにある安全をいかに確保していくか。北町の商店街に掲げられた「頭上注意」の表示は、都市の老朽建築物をめぐる課題が、身近な安全に関わる現実的な問題であることを静かに物語っている。

この記事を書いた人

なりチャン

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