練馬区田柄の静かな住宅街。平和台と光が丘の少し平和台より、かつての川の面影を残す「田柄川緑道」沿いに、その店はひっそりと佇んでいます。


モスグリーンのテントと赤い瓦が目印の民家一階。扉を開ければ、そこには外の明るさとは対照的な、ジャズが流れるシックな大人の空間が広がっていました。

今回は、「cafe & bar 東京珈琲相談所」を訪ねた記録を綴ります。
琥珀色の時間が流れる「相談所」という名のカフェ

店内は、まるでオーセンティックなバーのような落ち着いた雰囲気。



カウンターにはお酒が並び、傍らには大きな焙煎機と、オーナーこだわりのCDがぎっしりと詰まったラックがあります。


メニューは各種コーヒーや食事やおつまみになるフードメニューも揃っています。

カウンター席に座ると、目の前で一杯ずつ丁寧にハンドドリップが始まります。
「田柄水道」の井戸水が引き出す、雑味のない魔法
オーナーはかつて渋谷でストーカー対策の相談所を運営していましたが、「もっと気軽に、相談しやすい場所を」という想いからカフェをオープン。その出店場所として選ばれたのが、この地でした。

決め手は、地下180mから汲み上げられる「田柄水道」の井戸水。
- 水量が潤沢で、渇水の心配がない豊かな水脈
- 自然の土壌で長い年月をかけて浄化された、おいしい水


この水で淹れたコーヒーは、驚くほどマイルドで雑味がありません。「田柄クラシックブレンド(700円)」をアンティークのティーカップでひと口。熱いうちはもちろん、冷めてからも角が立たず、柔らかな味わいが続くのが特徴です。
名物サイドメニュー「are(あれ)」の正体

メニューに目を移すと、不思議な名前の品がありました。 お客さんが少し笑いながら「『あれ』下さい」と注文する、マスターオリジナルのサイドメニュー。
その正体は、健康のためにと手にしたものの、美味しく食べられず挫折してしまった人(私を含め!)への救世主、オートミールでした。
デザート以上、軽食未満。至高の「are」

小麦粉、乳製品、植物油を一切使わず、砂糖も極々わずか。「ようやく“食べたい”と思えるかたちに辿り着いた」というマスターの試行錯誤が詰まった一品です。
- ベース: ココナッツミルクとアーモンドミルクでやさしく煮込み、冷ましたあとに13種類のスーパーフードを加えて冷やす。
- トッピング: クランベリーと、じっくり漬け込んだハニーナッツ。仕上げにメイプルシロップを。
- 味変: 別添えの「エスプレッソと赤ワインを煮詰めたソース」をかければ、ぐっと深みのある大人の表情へ。

まさにここでしか食べられない、唯一無二の味わいです。
編集後記:唯一無二の止まり木

「相談所」という看板を掲げ、独特の雰囲気を纏うマスター。 けれど、出されるコーヒーと「are」には、水へのこだわりと、訪れる人の心身を労わる確かな優しさが詰まっていました。
住宅街の片隅で、地下深くから湧き出す水と共に、誰かの悩みがふっと軽くなる。 そんな不思議で心地よい時間が、ここには流れています。



