【北区滝野川】大正・昭和の面影を残す国登録有形文化財「滝野川稲荷湯」へ。時を紡ぐ2本の柱と、新設された水風呂で温冷浴を満喫

旧中山道沿いに伝統を今につなぐお店が並ぶ「滝野川商店街」。下町情緒あふれるその商店街から、小道を少し入った処に「滝野川稲荷湯」があります。

映画『テルマエ・ロマエ』やドラマ『9ボーダー』のロケ地としても広く知られ、お風呂好きの間でも高い人気を誇る名湯。

今回は、100年以上の歴史を今に伝えるこの素敵な銭湯の魅力と、湯上がりにふらりと立ち寄りたいコミュニティスペース「稲荷湯長屋」の様子をレポートします。

震災と戦災を耐え抜いた「2本の黒光りする大柱」

滝野川稲荷湯の創業は1913年(大正2年)。屋号は当時お隣にあった稲荷社に由来しており、今でもよく見ると、敷地内にお稲荷さんがそっと鎮座しています。現在は5代目にわたり、この地で風呂屋の暖簾(のれん)を守り続けています。

現在の建物は1930年(昭和5年)に建てられたもの。三段に重なった破風(はふ)の屋根や、寺社を彷彿とさせる宮づくりの意匠からは、当時の地元宮大工の息をのむような職人技が伝わってきます。

靴箱の上の見事な作りを見上げながら中へ入ると、まず目を奪われるのが脱衣所を支える2本の大きな柱です。

建物を支え続ける100年の木 昭和初期の建築では古材を利用することがあったそうで、この黒光りする2本の柱は、関東大震災や戦災を経てもなお、この建物をしっかりと支え続けてきました。

銭湯特有の湿気がある環境でも、曲がらずにまっすぐと佇む姿は圧巻。「余程いい木なのだろう(木の種類は不明とのこと)」というお話にも深く頷けます。

2019年には国の有形文化財に登録。その後、ワールドモニュメント財団の支援を受けて修復再生プロジェクトが実施され、その取り組みは2024年にユネスコからも表彰を受けました。

高温湯から、2026年春に新設された注目の「水風呂」まで

HPより引用。

浴室に入ると、のびやかに広がる見事な富士山のペンキ絵が出迎えてくれます。カコーンと気持ちよく響く昔ながらの木桶の音を聴きながら、さっそくお湯をいただきましょう。

お湯は地下水を組み上げており、体が芯から温まるとともに肌がつやつやになると評判です。以前は薪で沸かしていましたが、現在はボイラーに移行。銭湯特有の煙突が今はひっそりと佇んでいるのも、時代の移り変わりを感じさせます。

浴槽は、好みに合わせて選べる3つの温度に分かれています。

HPより引用。
  • 高温湯(あつ湯):本当に熱い!体感では40度後半はあろうかという熱さで、じっと耐えながら入るうちに、体も気持ちもキリッと引き締まります。
  • 中温湯:深い場所と浅い場所があり、のびのびと足を伸ばしながらリラックスして浸かれます。
  • 低温湯:薬湯になっており、温度も優しいため小さなお子さんでも安心して入れます。

そして、サウナ好き・お風呂好きに嬉しいニュースが。 2026年3月末の工事を経て、新たに「水風呂」と「ベンチ」が新設されました!

サウナはありませんが、この伝統の「あつ湯」と、新設された新鮮な「水風呂」を交互に往復する温冷浴によって、驚くほど体が心地よく「ととのう」のを感じられます。

HPより引用。

錦鯉が泳ぐ縁側、そして再生された「稲荷湯長屋」へ

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湯上がりは、脱衣所の外にある池の縁側へ。優雅に泳ぐ錦鯉を眺めながら涼む時間は、まさに日本の粋な文化がギュッと詰まった至福のひとときです。

さらに、火照った体を休めるなら、お隣にある「稲荷湯長屋」へ足を運んでみてください。

もともとは中山道沿いに建てられ、1927年(昭和2年)に移設されたこの二軒長屋。かつては従業員の方々の住まいとして使われていましたが、時代の変化とともに空き家となり、長年にわたり風雨にさらされボロボロの状態になっていました。

しかし、2021年から1年以上をかけ、伝統工法を用いた見事な再生工事が実施されました。一戸は原型に近い間取りに戻し、もう一戸はキッチンのある土間へと生まれ変わり、地域に開かれたコミュニティスペースとしてオープンしたのです。

日替わりで表情を変える、地域の温かいサードプレイス

この日、土間では美味しそうな杏仁豆腐が販売されていました。気さくな店主さんとあれこれお話を伺っている間にも、銭湯帰りの方や、ふらりと観光に訪れた方など、色々な人々が楽しそうに長屋を訪れていました。

ここでは日替わりでカフェや整体、バーなどが開かれ、毎日違った顔を見せてくれます。

大人たちが銭湯で汗を流したり、長屋で整体の施術を受けたりしている間、子どもたちは絵本を読んだりゲームをしたりして待つこともできる。そんな温かい地域のコミュニティが、いまもここに息づいています。

移り変わる街並みの中で、守り続ける暖簾の灯り

かつては銭湯があった通り。

かつてはこの滝野川周辺にも4〜5軒の銭湯があり、地域の人々の日常に深く溶け込んでいました。しかし時代の移り変わりとともに、街から銭湯の数は少しずつ減少。さらに2026年12月には、長年親しまれてきた「飛鳥山温泉」も閉店を迎えることとなり、地域の憩いの場がまた一つ少なくなってしまいます。

そんな寂しさを抱える今だからこそ、100年以上の歴史を紡ぎながら、新しい心地よさを取り入れて進化し続ける「滝野川稲荷湯」の存在は、地域にとってより一層かけがえのない、温かい光として輝きを放っています。

滝野川稲荷湯 基本情報

下町情緒あふれる商店街の路地裏で、古き良き銭湯文化を今に伝え、新しい心地よさも取り入れながら進化を続ける滝野川稲荷湯。心も体もぽかぽかに解きほぐされる、素敵な場所との出会いがありました。

  • 住所:〒114-0023 東京都北区滝野川6丁目27-14
  • アクセス
    • 都営三田線「西巣鴨」駅下車 徒歩6分
    • JR埼京線「板橋」駅下車 徒歩6分
  • 営業時間:15:00 ~ 24:30
  • 定休日:水曜日
  • 電話番号:03-3916-0523

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なりチャン

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