昭和から令和へ紡ぐ環七の伝説。板橋本町「元祖まぐろラーメン本店」で感じるラーメンの歴史

日本のラーメンが単なる「日常食」から、世界に誇る「独自の文化」へと昇華したきっかけの一つ。それこそが、バブル期から1990年代にかけて巻き起こった「環七ラーメン戦争」ではないでしょうか。

かつて、環状七号線沿いは、深夜2時、3時になっても湯気と背脂の香りが立ち込め、路上駐車の列で大渋滞を引き起こすほどの異様な熱気に包まれていました。

「土佐っ子」の背脂チャッチャ系や「なんでんかんでん」の博多豚骨など、まさに群雄割拠。「場所のブランド」として、深夜に行列を作るのがステータスのような時代でした。

時代の変化(道路交通法改正による駐禁取り締まりの強化など)とともに多くの名店が姿を消し、ときわ台にあった土佐っ子の歴史を継ぐ「下頭橋(げとうばし)ラーメン」や、白子の「屋台屋」などにその面影を残すのみとなっています。

そんな激動の環七沿いで、1993(平成5)年の創業以来、今もなお現役で暖簾を守り続けている伝説的な個性派店があります。それが、板橋区大和町にある「元祖まぐろラーメン本店」です。

タイムスリップしたような、独自のエネルギーに満ちた店内

都営三田線・板橋本町駅から歩いてすぐ。環七沿いに佇む赤を基調とした外観は、どこかノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。

店内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが壁を埋め尽くす掲示物の数々!

過去のメディアによる「環七ラーメン特集」で1位に輝いたときの記事などが飾られており、激戦を勝ち抜いてきた歴史の重みを肌で感じられます。よく見ると、前述した白子の「屋台屋」の名前もあり、「やはり何か関係があるのかな?」と、当時の横のつながりに思いを馳せてしまいます。

お店のシステムは、入店してまず会計を済ませる前金制。今回は王道の「醤油ラーメン」を注文しました。

ちなみに最近は「油そば」にも力を入れているようで、板橋区の大山(遊座大山商店街)にある2号店でも油そばを中心に展開しているそうです。

ロック、ポップス、そしてアスリートが集う聖地

店内のインテリアも実にユニークです。オーナーがファンだというロックバンド「キャロル」のグッズやアメリカン雑貨が飾られており、お店のイメージカラーである“赤”もここから来ているのかもしれません。

さらに、数々の著名人のサインや写真もずらり。

  • スポーツ界・芸能界のレジェンドたち:女子レスリング金メダリストの吉田沙保里さん、伊調千春さん、伊調馨さんをはじめ、江川卓さん、原辰徳さん、美川憲一さん、神田うのさん、マギー四郎さんなど。
  • 歌姫・大塚愛さんの聖地:一時期かなりの常連だったようで、「今まで生きてきた中で間違いなく一番おいしい」と絶賛したほど。今でもライブ後にファンが“聖地巡礼”として訪れるそうです。

見た目はガッツリ、中身は極上の“引き算”スープ

運ばれてきた「醤油ラーメン」は、表面に背脂が浮いた、まさに“背脂インパクト”なビジュアル。これぞ環七ラーメン!と胃袋が身構えますが、スープを一口飲むと、そのギャップに驚かされます。

「脂っこくないし、味も濃すぎない。そして、魚臭さが一切ない!」

マグロの頭を丁寧にじっくりと煮込んだスープは、ひと口飲んだ瞬間にふわっと魚介の気品ある香りが立ち上がります。キレのある醤油ダレと合わさることで、あっさりしていながらも深いコクと旨味が押し寄せます。マグロ由来のDHAもたっぷり含まれているとのことで、頭や肌にも嬉しい一杯です。

麺は少し柔らかめでスープをよく拾う、昔懐かしいちぢれ麺。モチモチというよりは、サラリと喉を通るあっさりとした食感です。

トッピングはチャーシュー1枚、メンマ、ネギ、そしてどこかホッとするナルト。主役であるスープの邪魔をしない、引き立て役たちです。

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パンチが欲しい方にはにんにく等も。

令和の時代に感じる、ちょっとした“昭和ギャップ”

満足の一杯でしたが、現代ならではの視点でひとつ気になった点も。 店頭ではタバコを吸う人の姿が。タイミングによっては店内に煙が入ってくることがあります。

昭和・平成初期のラーメン店では当たり前だった光景ですが、少し時代ギャップ(ノスタルジーとも言えますが)を感じる瞬間かもしれません。

最後に

土佐っ子やなんでんかんでんといった、時代を彩った巨星たちが環七から去ってしまった今、あの狂熱の「環七ラーメン戦争」の記憶をリアルタイムで今に伝える「まぐろラーメン」。

みなさんもぜひ、歴史のロマンと、唯一無二のまぐろスープを味わいに足を運んでみてはいかがでしょうか。

【店舗情報】元祖まぐろラーメン 本店

  • 住所:東京都板橋区大和町23-2
  • アクセス:都営三田線「板橋本町駅」から177m(徒歩約3分、環七通り沿い)
  • お問い合わせ:03-3962-7716(※予約不可)
  • 営業時間
    • 火・水・木・金・土・日:11:30 – 14:00 / 17:30 – 23:00
  • 定休日:月曜日(※祝祭日、年末年始に変更あり。店舗にお問い合わせください)

この記事を書いた人

なりチャン

なりますチャンネルは、成増をベースに東京の城北エリア(板橋・練馬)の地域情報を地元目線でリアルタイムにお届けしていきます✉「子どもたちが地域の方々と触れあい、地域をもっと好きになってほしい」という想いで2022年頃に始めました。月間55万PV(2026年1月)。