【豊渓中・統廃合】吉田新区長が「一旦立ち止まる」と表明!白紙撤回と経済合理性の間で揺れる旭町の未来

練馬区立豊渓中学校(旭町3丁目)の統廃合計画を巡り、大きな動きがありました。

2026年6月に就任した吉田健一新区長は、6月9日の区議会本会議にて、現在進められている公立小中学校の統廃合計画について「一旦立ち止まり、地域の方々の声を丁寧にお聞きして検討したい」と答弁。前川前区長体制で進められていた計画を事実上、再検討する方針を明らかにしました。

この方針転換は、地域にどのような影響を与えるのでしょうか。現状と課題を整理します。

すでに始まっていた“実質的な廃校レール”と今年の新入生

豊渓中学校は、当初の計画では「2029年3月末(2028年度末)で閉校し、光が丘第一中学校へ統合・再編する」という期限が切られていました。

区教育委員会は統合に向けた地ならしとして、この4月の入学生から「特例での指定校変更(最初から光が丘一中への通学を選ぶこと)」を認める対応をとってきました。 その結果、今年の豊渓中の1年生の入学生はわずか10名。

「統廃合反対」を掲げる吉田区長が誕生したものの、現場ではすでに強引とも言える形で廃校へのレールが敷かれ、存続が極めて厳しい実態が浮き彫りになっています。

吉田区長の答弁:進め方は「性急すぎた」

自民党の藤井節議員の一般質問に対し、吉田区長は以下のように答弁しました。

「これまでの統合・再編に向けた区の取り組みは理解していますが、住民理解や合意形成が図られていない、進め方が性急すぎるといった声をいただいており、住民との話し合いが不十分であったと受け止めています」

「一旦立ち止まり、各校の現状や課題を整理した上で、地域の方々の声を丁寧にお聞きし、検討したいと考えています」

区教委教育施策課によると、次の学校選択の希望票が配布される今年10月ごろまでには、今後の明確な方向性を示す予定とのことです。

「市民の想い」と「80〜90億円の壁」が交錯する

旭町小学校からの卒業生は毎年40〜50人ほどいますが、私立などの中学校を受験する割合も高く、地元の公立中に進む生徒の減少に歯止めがかかっていません。

旭町に唯一の中学校を残してほしいという住民の声は根強いものの、現実には非常に厳しいハードルが立ちはだかっています。

  1. 凄まじい建て替え費用: 現在、建築資材や人件費の高騰により、小中学校1校を建て替えるだけで80億〜90億円もの巨額の費用がかかります。
  2. 財政との兼ね合い: 練馬区内には98の区立小中学校があります(小学校65校・中学校33校)。これらすべての学校を維持・建て替えしていくことは、区の財政を考えると容易ではありません。

これまでは「経済合理性」を優先して強硬に進められてきた統廃合。それが新体制によって一度立ち止まった形ですが、「地域の想い」だけで学校を維持できるのか、岐路に立たされています。

さいごに~豊渓中が立つ「丘」の歴史~

豊渓中学校があるあの高台の敷地は、地元の歴史とも深く結びついています。

大正時代から昭和初期にかけて、この一帯には「兎月園(とげつえん)」という大遊園地があり、学校のある丘は昔、「兎月台(とげつだい)」や「兎月が丘(とげつがおか)」と呼ばれ親しまれていました。

そんな歴史ある地に、豊渓中学校が開校したのは昭和22年(1947年)のこと。当時は生徒数わずか79名からのスタートでした。時代が巡り、再び少人数となった学び舎の歴史をどう繋いでいくのか、私たちは今、大きな決断の瞬間に立ち会っています。

この記事を書いた人

なりチャン

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