【赤塚】創業98年の「のぐちやBakery」の物語— 4代目の作る賄いパンが「板橋のいっぴん」区民賞を受賞

昭和2年(1927年)の創業から、まもなく100年を迎えようとしている「のぐちやBakery」(板橋区赤塚)。地域の「なんでも屋」として愛された歴史を背負い、現在は4代目がパン職人として奮闘しています。老舗の伝統を守りつつ、新たな挑戦を続ける「のぐちやBakery」の物語を紹介します。

地域の生活を支えた「野口町会」のなんでも屋

のぐちやさんのご家族。

「のぐちや」の屋号は、創業の地である「野口」(松月院から赤塚体育館あたりの地域)に由来します。創業は昭和2年(1927年)。当初は、今のようなパン屋ではなく、桜の木の下でお酒を提供する飲み屋さんだったそうですが、その後、地域の人々の生活に必要な日用品を扱う「野口地域のなんでも屋さん」になってきました。そのため、店名も地域名から「のぐちや」となりました。

のくちやさんのお店と3代目。

かんぶつ、お菓子、煙草、お酒の販売はもちろん、写真の現像取次、切手販売、さらには地域に電話が少ない時代には電話の取次まで担っていました。

板橋区より引用。

特に、四葉や大門には大根等の漬物をつくる農家が多く、そうした農家への電話注文を取り次いでいたため、今でも昔から住む地域の方からは「のぐちやさんにはお世話になった」という声が聞かれます。光が丘方面に乾物の仕入れには行く際は牛を利用していたというエピソードは、当時の赤塚の様子を今に伝えています。

3代目でパン屋へシフト、4代目が挑戦を継承

のぐちやさんの新家屋の建築。

のぐちやがパン屋として本格的にシフトしたのは、3代目の時代です。

2代目の頃から大手メーカーのパンや簡単な「卵パン」を製造販売していましたが、昭和50年頃に下赤塚駅近くでパン屋が繁盛しているのを見て、「パンが売れる」と確信。

オープン当時ののぐちやBakery(1980年頃)

3代目が20代前半だった昭和55年に、手作りパンの製造販売へと大きく舵を切りました。その際も、地域のニーズが高かったたばこと生花の販売は継続し、現在に至っています(生花は3代目の奥様が中心に仕入れや販売を行っています。赤塚第三中学校の裏手にある下寺家町会のご出身だそうです)。

そして、4代目は生粋の赤塚っ子として育ちました。松月院幼稚園、赤塚小学校、赤塚第三中学校を卒業し、小学校では赤塚アントラーズ、中学校では野球部の主将を務めていました。家業を継ぐことは求められていおらず、大学を卒業後、大手旅行代理店や医療系人材会社でキャリアを積みました。

2020年頃にパンの製造を担ってた3代目である父の体調不良があり、お店をどうするかという話になった際、「この大切な場所を屋号を下ろして終わらせるくらいなら」と、2021年に継ぐ決心をします。

父子二人三脚の修行とサラリーマン経験の活用

焼きそばパンを作る4代目

継いだ当初はパン作りの経験はなかったものの、父である3代目から厳しいながらも愛情あふれる指導を受けました。父子の修行を乗り越え、パンを作り始めて5年目となる今では、生地の感触や重さで状態を把握できるようになるなど、職人としての感覚を磨いています。

釜に入る前のパン

二人でパンを作る体制になってからは、パンの発酵が最適な状態で焼き入れできるようになった結果、「パンがしっとりとして柔らかくなった」と常連客からも好評です。

配達準備ができたパン

また、4代目はサラリーマン時代の経験を活かし、保育園、介護施設、老人ホームへの給食提供や、スキップスクエア(成増)、東武ストア前(高島平)、みその幼稚園(出張販売)など、販路拡大に向けた営業活動にも積極的に取り組んでいます。

念願の「区民賞」受賞!「4代目の賄いパン」

パン作りが軌道に乗ってきた5年目、4代目自身のアイディアから生まれた「四代目の賄いパン」が大きな栄誉に輝きました。

3代目の焼きそばパンと4代目の賄いパンが並ぶ。

これは、余ったパン生地に、チーズ、ハム、カレー粉など、4代目の好きな具材を全部詰め込んで食べていた賄いが商品化されたもので、今では店の人気商品です。

「3代目である父の作ったお店の名物『焼きそばパン』は、2022年に『板橋のいっぴん』に選ばれました。今回の受賞を受けて、自分も少しは父の背中に近づけたかな、と感じています」と四代目は語ります。

「けど、まだ焼きそばパンの方が売上は大きいんですけどね。」と続ける目には、父でありパンの師匠でもある三代目への深い敬意と想いが感じられます。

2025年、「いたばしのいっぴん」にエントリーし、板橋区民の投票で選ばれる「区民賞」を受賞。「クリオロ」、「中野製菓」、「ベーカリーカフェマルジュ」、「肉のマルサン」といった名だたる名店と並び、奥板橋を代表して選ばれたことに、4代目は大きな喜びと感謝を感じています。SNS(LineInstagram)での地道なファン作りも、この受賞に繋がったと語ります。

毎朝3時からパンを作り始め、店頭には70種類以上のパンが並ぶ「のぐちやBakery」。手間のかかる「ピザパン」や、発酵に5時間かかる「パネトーネ」なども、地域の方に手頃に楽しんでもらいたいという想いで、親子で毎日丁寧に作られています。

4代目の松戸淳哉さん。

野口町会、そして赤塚の街のパン屋さんとして、これからも地元の方々に愛され続けることが第一。その一方で、4代目はサラリーマン時代の経験を活かし、保育園や介護施設への提供、他店舗での出張販売など、着実に販路を拡大してきました。

大東文化大学の郵便局(Instagramより引用)

今後はより広範囲な販路拡大も視野に入れています。地域に根差した温かさを大切にしながら、老舗の暖簾を守り、新しい未来を切り開く4代目の熱意は、止まることを知りません。

「のぐちやBakery」の店舗概要

幼稚園や保育園の帰り道でもやっていたりします。
名称のぐちやBakery (ノグチヤベーカリー)
創業昭和2年(1927年)
住所〒175-0092 東京都板橋区赤塚5-1-1
アクセス東武東上線 下赤塚駅 北口より 徒歩約14~15分
電話番号03-3930-0050
営業時間7時半~18時半
休業日木曜日
※金曜日がお休みになることもあります。詳細はInstagramなどをご確認ください。
HP/Instagramのぐちやベーカリー | 下赤塚 パン屋
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おまけ 板橋のいっぴん「区民賞」

ジャンル商品名店名エリア
洋菓子クラシック・ヌーボークリオロ大山エリア
和菓子おからと豆乳のかりんとう中野製菓 株式会社大山エリア
パン当店四代目の賄いパンのぐちや Bakery高島平・赤塚・成増エリア
パン塩バターロールベーカリーカフェマルジュー大山本店大山エリア
お惣菜・食事肉のマルサン 自家製ハムカツ肉のマルサン中板橋・常盤台・上板橋エリア

この記事を書いた人

なりチャン

なりますチャンネルは、成増をベースに東京の城北エリア(板橋・練馬)の地域情報を地元目線でリアルタイムにお届けしていきます✉「子どもたちが地域の方々と触れあい、地域をもっと好きになってほしい」という想いで2022年頃に始めました。月間40万PV(2025年10月)。