光が丘の住宅街に、知る人ぞ知る名店がある。「とんこつラーメン めんくい」。 店先に掛かるのは、お世辞にも綺麗とは言えない年季の入ったのれんだが、その佇まいには「いぶし銀」な風格が漂っている。

1. 流行りとは一線を画す「静」の空間

開店直後の11時半。暖簾をくぐると、店内はすでに満席だった。店内に4脚用意されている待機用の椅子に腰を下ろし、席が空くのを待つ。

厨房には、静かに一点を見据えて佇む店主の姿。その凛とした立ち姿からは、職人ならではの厳かな雰囲気が満ちている。最近流行りの威勢の良い掛け声が響く店とは一線を画す、独特の緊張感。L字型のカウンターは8席程度。コンクリート張りの床に、手を乗せると少し軋む机。会話はほとんどなく、客の誰もが真剣にラーメンと向き合っている。
席に着くと、店主のタイミングで注文を聞かれる。手元の紙にさらさらとメモをする独特のスタイルに、この店のリズムを感じる。
2. 潔いメニューと、職人の細心なる手仕事

メニューは至ってシンプルだ。
- とんこつ:800円
- からとん(辛口):900円
基本はこの2種類。ここに、多くのファンが「ライスに乗せると最高だ」と絶賛する「煮ばら(300円)」や、味玉、ねぎ、もやし、メンマ、のりといった、概ね100円前後と手頃なトッピングを組み合わせていくのがこの店の流儀。今回は初訪問のため、オーソドックスに「とんこつ」を選択した。
厨房では、店主による妥協のない調理が続く。 かつての名店「千石自慢ラーメン」出身という系譜を感じさせる背脂チャッチャ系のスタイルだが、その所作は極めて繊細だ。 太めの麺を茹でるため、着丼まで5分以上。店主は自ら麺を指でつまみ、その硬さを丹念に確かめている。そしてスープ。少量を何度も、細心の注意を払って丁寧に丼へ移していく。
店内に漂う、豚骨のワイルドで力強い香りとともに、一杯のラーメンに懸ける店主の並々ならぬ思いが伝わってくる。
3. 深いコクとあっさりとした後味。中毒性の正体

最後に「のり」が添えられ、ついに運ばれてきた一杯。 器になみなみと注がれたスープは、普通のラーメン店に比べて並々と注がれている。その圧倒的なボリュームのおかげで、最後まで冷めることなく熱々のまま頂ける。


- スープ:背脂が浮いた豚骨醤油。ワイルドな香りと裏腹に、口当たりは驚くほど綺麗で丁寧な仕事が伝わる。見た目ほどギトギトしておらず、一口含めば、あっさりとした口当たりの後に深い旨味とコクが追いかけてくる。まさに五臓六腑に染み渡るような味わいだ。
- 麺:中太でモチっとした、少し縮れのある黄色い麺。少し柔らかめの茹で加減が、熱いスープと絶妙に絡み合う。
- トッピング:カウンターにはニンニクと唐辛子があり、常連たちは迷わず大量のニンニクを投入して、さらにパンチの効いた一杯に仕上げていく。
4. 完食後の流儀と次への期待

至福の時間を終えたら、お皿をカウンターに上げ、ふきんで自分の席を拭く。
華美な演出はない。しかし、そこには「職人の仕事」があった。
隣の常連さんが食べていた、煮ばらとネギをトッピングした「からとん」にニンニクをたっぷり乗せた一杯が、今からもう気になって仕方がない。あの深いコクを求めて、またこののれんをくぐることになるだろう。
ラーメンめんくい

| 店名 | とんこつラーメン めんくい |
| 住所 | 東京都練馬区高松5丁目14-9 |
| アクセス | 都営大江戸線「光が丘駅」より徒歩15分 / 西武バス「高松五丁目」バス停より徒歩2分 |
| 電話番号 | 03-3995-1777 |

