JR東日本は、国土交通大臣から運賃改定の認可を受け、2026年3月14日(土)に運賃体系の大幅な刷新を実施します。1987年の会社発足以来、消費税率の引き上げなどを除いて維持されてきた運賃水準が、ついに大きな転換期を迎えます。
今回の改定で最大のトピックは、国鉄時代から続いてきた都心部の優遇措置「山手線内」および「電車特定区間」という割安な運賃区分の廃止です。

1. 山手線内・都心部で何が起きるのか?

これまで山手線内や都心部(電車特定区間)は、他のエリアよりも安価な運賃が設定されてきました。しかし、今回の改定でこれらの区分は廃止され、全国基準の「幹線」運賃に統合されます。
この「区分統合」と「運賃自体のベースアップ」が重なることで、山手線を中心としたエリアでは、全エリア平均の改定率(7.1%)を大きく上回る異例の値上げとなります。
【山手線内の改定率】
- 通勤定期運賃:22.9%
- 通学定期運賃:16.8%
- 普通運賃:16.4%
2. 具体的な運賃・定期代の変化
東京駅から主要ターミナル駅への運賃・定期代は以下のように変わります。特に通勤定期は月額で1,500円以上の負担増となり、家計や企業の交通費コストに直結します。
主要区間の運賃・定期代比較(2026年3月14日〜) ※普通運賃は1円単位のIC運賃。
| 区間 | 普通運賃(IC) | 通勤定期(1ヶ月) |
| 東京 〜 新宿 | 208円 → 253円 | 6,290円 → 7,840円 |
| 東京 〜 池袋 | 208円 → 253円 | 6,290円 → 7,840円 |
| 東京 〜 渋谷 | 208円 → 253円 | 6,290円 → 7,840円 |
| 東京 〜 品川 | 178円 → 209円 | 5,620円 → 6,240円 |
3. その他の主な変更点

運賃改定に伴い、長年の慣習やサービス内容も大きく見直されます(詳細はこちら)
特定区間の廃止: 私鉄との競合により安く設定されていた「特定区間(東京地区)」は、一部を除き廃止。
- 東京〜熱海間の扱い: これまで同一線路として扱われてきた東海道新幹線(JR東海)と在来線(JR東日本)を別の線路として計算。利用経路に応じた運賃が必要になります。
- 往復・連続乗車券の終了: ICカード普及やネット予約の拡大に伴い、発売を終了。
- オフピーク定期券: 通常より約15%割安な設定を維持しつつ、対象エリアを拡大。
- バリアフリー料金: 運賃に統合される形で、別途徴収されていた料金は廃止。
4. なぜ今、値上げが必要なのか?

JR東日本は、会社発足以来の経営努力が「限界に達した」としています。 背景には、テレワーク定着による利用者の恒久的な減少に加え、昨今のエネルギー価格や物価の高騰、さらには老朽化した鉄道設備の修繕費や安全投資(ホームドア整備等)の増大があります。将来にわたり鉄道ネットワークを維持・再生するための、苦渋の決断といえます。
利用者へのポイント

- 通学定期の据え置き: 家計負担に配慮し、「幹線」「地方交通線」の通学定期は据え置かれます(※ただし、区分廃止となる山手線内などは値上げ対象)。
- 3月13日までの購入が有効: 改定日の前日(3月13日)までに定期券を購入すれば、4月以降にかかる分も旧運賃が適用されます。

