【田柄】学校給食を支えるふかふかの土!「エコファームヨシダ」が体現する都市農業のカタチ

住宅街が広がる練馬区田柄。その一角、田柄小学校の周辺に農地が広がっています。ここが、先祖代々の土地を守りながら、先進的な農業を営む「エコファームヨシダ」です。

田柄小学校前の畑。

今回、園主の吉田さん親子にお話を伺い、美味しい野菜作りの秘密から、都市農業の知られざる実情までを取材させて頂きました。

エコファームヨシダ前の畑。

触って感動!「ふかふかの土」が生み出す極上野菜

こどもも食べやすい苦くないピーマン。

エコファームヨシダの野菜を食べた子どもたちは、口を揃えてこう言います。

「野菜嫌いだったのに、吉田さんの野菜なら喜んで食べられる!」

その美味しさの原点は、何と言っても「土作り」にあります。

畑の土に触れて驚くのは、そのきめ細やかさとふかふかとした柔らかさ。

馬糞と米ぬかを発酵(発酵温度は70℃近くに)

農園の一角には、大学の馬術部や板橋こども動物園から引き取った馬糞、わら、米ぬか等を発酵させた栄養満点の堆肥がうず高く積まれています。本来なら廃棄されてしまうものを、作物の命へと変える見事な循環です。

ビニールハウス内のきゅうり。

さらに、土をふかふかにするために欠かせない「もみ殻」は、埼玉県で米を作っている親戚から譲り受けたものだそうです。 (※かつては学校等の落ち葉も活用していましたが、東日本大震災以降は消費者への配慮から利用を控えるなど、安全への意識も徹底されています)。

驚きのシャキシャキ感!こだわりの「朝どれ」

吉田さんと青首大根。立派な葉が印象的。

エコファームヨシダの代名詞といえば、青々とした立派な葉が特徴の青首大根。スーパーの流通では1〜2日かかってしまうため葉は切り落とされていることが多いですが、吉田さんの大根は葉っぱも青々として美味しい。 栄養満点の土で育つためか、通常よりも葉が長いそうです。

さやが膨らんできた枝豆。

また、夏場の繁忙期を迎える「えだまめ」や「トウモロコシ」は、朝露に濡れる早朝4時頃から収穫が始まります。朝の冷気に触れることでギュッと糖度が増した野菜は格別です。

1本のキュウリから始まった、18校をつなぐ学校給食

小学生にきゅうりを手渡す吉田さん。

現在、エコファームヨシダの野菜は、田柄小学校をはじめ近隣の17校の学校給食に提供されています。

田柄小学校。

こうした取り組みのきっかけは、園主の吉田さんがかつて田柄小学校のPTA会長を務めていた時代にさかのぼります。 運動会の日に、吉田さんが採れたてのキュウリを差し入れたところ、その瑞々しさと美味しさに当時の校長先生が感動!

「ぜひ給食に吉田さんの野菜を!」と熱望されたことから、地産地消のストーリーが動き出しました。

伊勢丹への出荷前の青首大根。

その後、栄養士さんたちの口コミで「吉田さんの野菜は格別だ」と評判が拡散。包丁を入れた瞬間にみずみずしさが溢れ出る大根など、子どもたちに「本物の味」を伝える生きた食育教材として、多くの学校に引っ張りだこになりました。

プロとしての矜持と、持続可能な農業への姿勢

青々としたきゅうりのトンネル。

これほど地域に愛される農園ですが、住宅街の真ん中で露地栽培を続けることには、徹底した管理と独自の工夫が必要です。

植え付けたばかりの、さつまいもの苗。

環境への配慮と、妥協のない品質管理

田柄町の生活を支える田柄水道。

基本、畑は天候頼みで水をまきませんが、夏場の日照りや種まきの時期にはどうしても十分な散水が必要です。

収穫が近いジャガイモ畑。

家庭用なら月数千円の水道代が、畑となれば一気に数十万円へと跳ね上がりますが、そこは「子どもたちに最高の状態で美味しい野菜を届ける」という農家としての矜持。消費者ファーストで品質管理を行います。

堆肥置き場。

また、堆肥の攪拌時にどうしても漂ってしまう牧場のような匂いや、土埃の問題など、近隣住民への丁寧な理解と配慮を重ねながら、住宅街での共生を両立させています。

対話で築く、持続可能な関係

エコファームヨシダのInstagram。

現在は父が土作りと栽培、娘さんが収穫・販売やSNS発信を担当する素敵な親子二人三脚。エコファームヨシダは「学校側との綿密な対話」によって無理のない持続可能な体制を築いています。

天候不良で野菜の生育が芳しくない時等は、学校側と事前に対話をしてスケジュールを調整したり、市場からの買い付けに切り替えてもらったりします。お互いの信頼関係があるからこそ、双方が納得して続けられる農業経営が成り立っています。

日本の「食を守る」ために。

近年、相続などを契機に都会の貴重な農地がマンションや介護施設へと変わり、姿を消していく寂しい現状があります。しかし、都市農業の価値は、単に「近くで新鮮な野菜が採れる」ということだけにとどまりません。

生産緑地地区。

世界情勢が不安定さを増す現代、日本の「食料自給率」の低さは深刻な課題です。安価な外国産食材に頼りすぎるリスクが浮き彫りになる中で、「有事の際、いかに地場で食料を確保し、地域の命を守るか」――それこそが、都市に農地を残す意義でもあります。

「最近は水耕栽培でもいろいろ作れる時代だけど、土から栄養を吸い上げ、夏の強い太陽の光をたっぷり浴びたトウモロコシの『太陽の味』は、電気の光じゃ作れない」

そう語る吉田さん親子が守り続ける田柄の畑は、地域の胃袋と子どもたちの健やかな体を支える、まさに「食を守る砦」です。都会に生きる私たちに本物の味と食の大切さを教えてくれるエコファームヨシダは、これからの都市農業が目指すべき確かな「カタチ」として、今日も力強く田柄の地に根を張っています。

\耳より情報!ヨシダさんの野菜を買うには?/

庭先販売

枝豆は畝の半分ごとに購入可能。

近隣の方向けに、前日までにInstagramから注文すると、当日収穫したての新鮮野菜をエコファームヨシダの倉庫で直接購入することができます。 ピンと立ったシャキシャキの葉物野菜の美味しさを、ぜひご自宅でも味わってみてください!

クィーンズ伊勢丹

葉物の味は絶品。

エコファームヨシダのこだわり野菜は、その高い品質が認められ、「クイーンズ伊勢丹(石神井公園店、十条店)」でも販売されています。お近くにお立ち寄りの際は、ぜひチェックしてみてください!

田柄のあおぱん

あおぱん。夕方には売切れてしまう日も。

吉田さんの野菜は、地域の人気店でも愛されています。 田柄小学校のすぐ近くにあるパン屋「あおぱん」では、例年夏にはエコファームヨシダの旬の野菜を使ったパンを販売しているほか、エコファームヨシダの新鮮な野菜を購入することができ、訪れる親子連れを楽しませています。

エコファームヨシダ 概要

星型のキュウリ!

農園名:エコファームヨシダ

園主:吉田 茂雄(よしだ しげお)氏

所在地:東京都練馬区田柄2丁目23-8

アクセス:東京メトロ有楽町線・副都心線「地下鉄赤塚駅」または東武東上線「下赤塚駅」から徒歩圏内

SNS:Instagram

この記事を書いた人

なりチャン

なりますチャンネルは、成増をベースに東京の城北エリア(板橋・練馬)の地域情報を地元目線でリアルタイムにお届けしていきます✉「子どもたちが地域の方々と触れあい、地域をもっと好きになってほしい」という想いで2022年頃に始めました。月間55万PV(2026年1月)。