「東京都で10年後に不動産価格が下がる駅ワースト1位」——。 そんなショッキングな見出しが一部で話題になった。対象となったのは、かつて「東洋一のマンモス団地」として名を馳せた高島平駅だ。


しかし、この数字を真に受けて「高島平=終わり」と切り捨ててしまっていいのだろうか。不動産コンサルティング会社の予測が示す「少子高齢化による人口減の懸念」という冷徹なデータと、実際に現地で生活する人々が肌で感じる「街の新たな息吹」。この両者の間にある大きなギャップを深掘りしてみる。


なぜ「ワースト1位」と評価されたのか?

今回指摘されている懸念の根拠は、決して「街の魅力がない」という主観的な評価ではない。国土交通省の予測データに基づく、以下のような構造的な課題だ。

- 高齢化による人口流出: 団地の建設当初から住み続ける住民の高齢化が進み、世帯構成が変化している。
- 「若年層の呼び込み」の苦戦: 統計上、ファミリー層を惹きつける大規模な商業集積が不足していると見なされている。

これらのデータは「このままの推移でいけば」という未来予測であり、既存の住宅ストックの老化を直視した警告でもある。
現場で見える「街の胎動」

一方で、街の「数字には現れない変化」も無視できない。高島平では、まさに今、小さな芽が着実に育っている。



- 商業施設への新規流入: メトロエムのフードコート(丸亀製麺、バーガーキング出店予定)や、三菱UFJ銀行跡地へのドトールオープンなど、空きテナントがすぐに埋まるという事実は、高島平が依然として「選ばれる場所」であることを示唆している。




- コミュニティの活性化: 高架下の緑地を活用した菜園プロジェクトや、地域密着型の憩いの場づくりなど、住民によるボトムアップ型の街づくりが加速している。


- 豊かな自然環境: 赤塚公園や大門の崖線といった自然資源は、都心近郊において大きなポテンシャルであり、子育て世代にとっても掛け替えのない資産だ。


「痛み」を伴う再開発の先にあるもの


結論から言えば、高島平は今、「成熟した団地の衰退」と「新たなコミュニティの誕生」という、二つの過渡期が交差する地点に立っているのかもしれない。


「不動産価値が下がる」というデータは、裏を返せば「今のままではいけない」という街への宿題でもある。再開発というプロセスには確かに痛みが伴う。古いものが壊され、新しいものが生まれる過程は、時として混乱を招く。


しかし、魅力的な店が次々とオープンし、地域の人々が自らの手で緑地を活性化させようとする姿勢がある限り、高島平の価値は「減価」するのではなく、むしろ「再定義」されていく可能性を秘めているのではないだろうか。

高島平は、オワコンなのではない。「これからどう生まれ変わるか」を問われている、再生の黎明期にある街なのだ。


