「ママのくちぐせ、お肉はマツキン」――。

そんな軽快なフレーズとともに、長年この街の食卓を支えてくれた仲宿商店街の老舗精肉店「松金商店」が、2026年2月をもってその長い歴史に幕を下ろしました。

大正時代から3代にわたり約100年。街の移り変わりをずっと見守り続けてきたマツキンは、単なるお肉屋さん以上の存在でした。

街の記憶と、愛された味

夕暮れ時、香ばしい匂いに誘われて店頭へ足を運ぶと、そこにはいつも笑顔がありました。新鮮なお肉はもちろんのこと、近隣のファンを虜にした揚げたての「コロッケ」や「メンチ」は、多くの家庭の夕食の食卓を彩ってきました。

また、板橋の美味しい名品として知られる「板橋のいっぴん」に選ばれた自家製焼豚も、マツキンを語る上では欠かせない逸品です。これらのおいしい記憶は、これからもこの街に住む人々の心の中に残り続けることでしょう。
苦渋の決断と、感謝の連鎖

閉店が近づくにつれ、その知らせを聞きつけた常連の皆さんが「最後にもう一度」と次々に予約に訪れる姿が見られました。最終営業日は予約で完売となり、当日の新規注文が受け付けられないほど、最後の日まで多くの人々に愛されていたことが伝わってきます。

今回の閉店は、先代社長である松沢直様のご逝去という悲しい出来事がきっかけでした。その後、弟である裕様が中心となり、お母様である和江様のサポート等と両立しながら懸命に暖簾を守り続けてこられました。しかし、一人での店舗運営が困難になる中で、ご家族で熟慮を重ねた末の苦渋の決断だったといいます。

これまで「いいにく(1129)」の電話番号とともに親しまれてきたマツキン。約100年もの間、地域のために心を込めてお肉を切り分け、温かい声をかけ続けてくださった松沢家の皆様に、心からの感謝を伝えたいと思います。

長い間、本当にありがとうございました。


