板橋区役所近くから移転し、現在は仲宿商店街の一角に店を構えるおもちゃ屋「コアラトーイ」。一歩足を踏み入れれば、そこには令和の喧騒を忘れさせる、ゆったりとした時間が流れています。

店主の指先が紡ぐ、モノを大切にする心

店内に目を向けると、40年近くこの道一筋で歩んできた店主が、静かに椅子に座っておもちゃに向き合っています。その手元にあるのは、最新のガジェットではなく、壊れてしまったおもちゃ。

かつて、おもちゃは「壊れたら買い替えるもの」ではなく、「直してでも使い続けたい宝物」でした。大量生産・大量消費の波の中で、おもちゃを修理する光景は今や希少なものとなりましたが、店主は今日も、子供たちの(そして元・子供たちの)大切な思い出を繋ぎ止めるように、一つひとつ丁寧に修理を続けています。
世代を超えて交差する想い

コンパクトな店内には、時代を彩ってきたおもちゃたちが所狭しと並んでいます。


- リカちゃん人形の華やかさ
- 細部まで作り込まれたプラモデル
- 世代を超えて愛されるプラレール、トミカ
- 熱狂を生んだベイブレード

最近では、子供よりもむしろ、かつてこの店に通った大人たちが足を運ぶことが多いといいます。先日も、遠方から訪れた「かつての子供」が、自分の子供を連れて来店されたそうです。

「子供の頃、欲しくても買えなかったおもちゃを、思い出の詰まったこの店で自分の子に買い与えたい」
そんな切実で温かい願いが、この場所には集まってきます。
効率化の影で、私たちが忘れてきたもの

大型量販店やネット通販が普及し、経済合理性や利便性では太刀打ちできない厳しい時代です。板橋区内でも、街のおもちゃ屋さんは数えるほどになってしまいました。

しかし、ボタン一つで届く便利さと引き換えに、私たちは「お店の人とのふれあい」や「一つのモノを長く慈しむ心」を、時代の隅に置き忘れてきてしまったのかもしれません。
今日も、看板は掲げられている

「コアラトーイ」の店内を流れる時間は、まるで時が止まっているかのようです。しかしそこには、効率やスピードでは測れない「心の豊かさ」が確かに存在しています。
仲宿商店街を歩く際は、ぜひ覗いてみてください。そこには、あなたがかつて大切にしていた「何か」が、今も静かに待っているはずです。


