【高島平】創業50年。純喫茶「EVE(イヴ)」で味わう、サイフォンコーヒーと街の記憶

新高島平駅から徒歩5分。高島平団地の1階、どこか懐かしい空気が流れる「ファミリー商店街」の中に、ひっそりと佇む名店があります。

純喫茶「EVE(イヴ)」。

扉を開けると、そこには外の喧騒を忘れさせる、琥珀色の穏やかな時間が流れていました。

銅のテーブルとハートのカップ。こだわりが息づく空間

店内はダークブラウンを基調とした気品ある佇まい。赤い布張りの椅子と、アンティークなテーブルが馴染み、心地よいジャズの音色が響きます。

驚くのは、店内のいたるところに散りばめられた「ハート」のモチーフ。EVEの象徴とも言えるハート形のコーヒーカップは、眺めているだけで心が解きほぐされるようです。

たばこ販売も行っています。

席数は、ゆったりとした4人掛けや2人掛けのほか、カウンター席も用意されています。店内は分煙となっており、喫煙席には空気清浄機を設置するなど、誰もが気持ちよく過ごせるための細やかな配慮が感じられます。

驚きのボリュームと、丁寧なサイフォン抽出

今回いただいたのは、飲み物付きで950円の「ミックスサンド」。 運ばれてきた瞬間、その圧倒的なボリュームに目を疑いました。通常の倍はあろうかというサンドイッチは具材がぎっしりと詰まり、手作りの温かみがダイレクトに伝わってきます。

セットのコーヒーは、オーダーを受けてからサイフォンで丁寧に抽出。90度という絶妙な温度でじっくり淹れられた一杯は、雑味のないすっきりとした味わいで、豊かな香りが鼻を抜けます。このクオリティと満足感で950円という価格には、思わず感謝の気持ちが湧いてきます。

2代目オーナー夫妻が語る、高島平の60年

お店を切り盛りするのは、オーナーの阿部さん夫妻。 店名の「EVE」はアダムとイブから名付けられたそうですが、「なぜ『イブ』の方を選んだのかは、もう分からない」と阿部さんは穏やかに笑います。しかし、50年という歳月を経て、その名は地域にとってかけがえのない安らぎの代名詞となりました。

高三中

阿部さんは、高島平団地が誕生した当初にこの地へ移り住み、高島第三中学校の1期生として青春時代を過ごされました。まさに高島平と共に育ち、この街を60年にわたり見つめ続けてきた方です。

再開発の足音と、問われる「対話」の質

高七小跡地

現在、高島平は大きな転換期を迎えています。 2026年3月2日には、旧高島第七小学校跡地へのタワーマンション建設に向けた条例案が可決。3月14日には解体を前にした「棟下式」が行われるなど、再開発の足音は着実に近づいています。

理容エロイカさんは閉店されました

しかし、その影で長年地域を支えてきた事業者たちの不安は尽きません。

「住民や事業者、地域コミュニティとしっかり対話しながら進めてほしい」

阿部さんは、冷静かつ切実な表情で語ってくださいました。 新高島平ファミリー名店街、中央商店街、イーストサイド名店街、さくら通り商店街……。団地内に点在する各商店街の店主たちが、再開発後の建物にどれほど入居できるのか、あるいは移転・廃業を余儀なくされる場合、どのような補償がなされるのか。

阿部さんによれば、こうした具体的な検討や説明、そして事業者との深い対話は、「まさにこれから」という段階なのだそうです。制度や建物という「箱」が決まっていく一方で、そこで営まれてきた「人の生活」への配慮がどこまでなされるのか。3丁目の分譲エリア特有のハードルも含め、乗り越えるべき課題は山積みです。

50年の歴史を刻んできた「EVE」のカウンター越しに聞くその言葉は、街の未来を考える上で非常に重みのあるものでした。

店名の由来はアダムとイブ。

なぜ『イブ』だったのか、今となっては店主も笑って『分からない』と言いますが、50年、60年とこの街を見守り続けてきた阿部さん夫妻が営む純喫茶「EVE」。

変わりゆく景色の中で、人々が立ち止まり、記憶を語り合い、再び歩き出すための拠り所。

まさに高島平のEVE(イヴ)のような存在なのかもしれません。

美味しいコーヒーとサンドイッチ、そして貴重なお話をありがとうございました。


【店舗情報】

  • 住所: 東京都板橋区高島平3丁目10-1(ファミリー商店街内)
  • 営業時間: 10:00~18:00
  • 定休日: 木曜日
  • 電話番号: 03-3975-2148

この記事を書いた人

なりチャン

なりますチャンネルは、成増をベースに東京の城北エリア(板橋・練馬)の地域情報を地元目線でリアルタイムにお届けしていきます✉「子どもたちが地域の方々と触れあい、地域をもっと好きになってほしい」という想いで2022年頃に始めました。月間55万PV(2026年1月)。