2026年3月、季節外れの雪が舞う少し冷え込んだ日。ふとした瞬間にあの懐かしい味が恋しくなり、成増が誇る老舗定食屋「やまだや」の暖簾をくぐりました。


活気あふれる店内で、小さな癒やしと出会う

お昼時ということもあり、店内は満席の活気に満ちていました。案内された4人掛けのテーブルで相席。ふと横を見ると、水槽の中でグッピーがひらひらと尾びれを揺らし、キャットフィッシュが一生懸命に壁を掃除しています。そんなのどかな景色を眺めながら、メニューを選びます。

壁一面に貼られた豊富な短冊メニューに目移りしてしまいますが、私のマイルールは「掲示板の最上段にある定食を選ぶこと」。そこには、その時期一番美味しい魚が記されているからです。

今回は「さんまの塩焼き定食(980円)」に決めました。
職人技が光る、驚きの「5分」

オーダーを受けてから提供までの早さは、いつ来ても驚かされます。揚げ物、煮物、焼き物。次々と入る注文をテキパキとさばく厨房の様子は、まさに職人芸。今回もわずか5分ほどで、湯気を立てたさんまが運ばれてきました。

- さんまの塩焼き:お皿から溢れんばかりの大きな一尾。箸を入れると身が綺麗にほぐれ、溢れ出す脂の旨味。新鮮だからこそ、内臓の苦味さえもご馳走です。

- 小鉢(肉豆腐):旨味たっぷりの出汁を吸い込み、茶色く色づいた豆腐。これだけでご飯一杯いけてしまうほどの存在感。

- お味噌汁:隠し味の酒粕のような風味があるお味噌汁は、雪で冷えた体にじんわりと染み渡ります。

気がつけば、お皿には頭と骨だけ。心もお腹もパンパンに満たされました。
成増の歴史を見守り続けて一世紀

店内には、かつての成増駅の写真が飾られています。 成増駅が開業したのが大正3年(1914年)。当時の改札は、現在の三菱UFJ銀行ATMのあたりにあったそうです。

そこから伸びる「すずらん通り」と「スキップ村商店街」。駅の誕生と共に発展したこの場所に、昭和元年(1926年)、やまだやは産声を上げました。
「成増で最も古いお店の一つ」 今年で創業100年。4代にわたりその伝統を引き継いでいます。
大正、昭和、平成、そして令和。貨物輸送が主流だった駅前が、今の賑やかな街並みに変わるまで、100年にわたり成増の人々の胃袋を支え続けてきたのですね。


歴史の重みを感じながらいただく定食は、格別の味がしました。 4代目が守るこの暖簾が、次の100年もこの街を照らし続けてくれることを願って。
ごちそうさまでした。
| 名称 | やまだや |
| 創業 | 昭和元年(1926年) |
| 住所 | 東京都板橋区成増2-19-3 |
| アクセス | 東武東上線「成増駅」南口から徒歩約2分東京メトロ有楽町線・副都心線「地下鉄成増駅」から徒歩約3分※スキップ村商店街内 |
| 電話番号 | 03-3930-5760 |
| 営業時間 | 10:30~15:00 / 16:30~20:30 |
| 休業日 | 土曜日 |
おまけ 蛭子能収さん
蛭子さんがまだ漫画家として駆け出しだった頃に成増に住んでいました。成増駅のバス停から競艇に向かい、その帰りにやまだやで食事をするのが楽しみだったそうです。成増に関わりのある様々な方がやまだやで食事をされているのですね。





