2026年1月6日。年始の営業がスタートしたばかりの成増駅南口ロータリーで、多くの住民が足を止め、掲示された「お知らせ」を静かに見つめていました。

東武東上線成増駅から地下鉄成増駅へと向かう導線上に位置する、「福のから 成増店」と、「鉄板カレー 匠えん」。地域に根ざしたこの2店舗が、同時にその歴史に幕を下ろすことが明らかになりました。



地元に愛された2つの「成増の味」
「福のから」は10年間、「匠えん」は11年。成増の日常に溶け込んできた両店には、それぞれ忘れられない魅力がありました。
【福のから】晩ごはんの強い味方

- 冷めても美味しい職人技: 旨味たっぷりの「だし醤油」が染みたジューシーな唐揚げは、夕飯のおかずや手土産の定番でした。
- こだわりの折詰: 厚焼き玉子や深川めしが入ったお弁当は、忙しい日の食卓に安心と彩りを添えてくれました。
【匠えん】五感を刺激する活力源


- 鉄板スタイル: 最後までグツグツと熱々のまま提供されるカレーは、おこげの香ばしさと共に味わう、ここでしかできない体験でした。
- 食のライブ感: ジュージューという音とスパイスの香りに包まれるカウンター席は、働く人たちの心とお腹を満たす最高の休息場所でした。
閉店の背景にある「築半世紀」の壁

今回の同時閉店の理由として挙げられているのが、「建物の老朽化」です。

成増駅南口は、1965年頃の駅移転に伴い、モータリゼーションの進展に合わせたロータリー整備が行われました。今回取り壊される建物も、その整備から程なくして建設されたものであれば、半世紀近い時を刻んできたことになります。

高度成長期に一斉に建設された建物の中には、現在、コンクリートや排水管の著しい劣化、耐震性の不足といった深刻な課題に直面しているものもあります。修繕では対応しきれない限界が、今回の人気2店舗の退去という形でも表面化したと言えるかもしれません。
街全体で進む「更新」の波

この動きは、決してこの一角に限ったことではありません。成増周辺では今、街の骨格が作り直されるような「更新期」を迎えています。
- 成増ヶ丘小学校: 建て替えに向けた検討がスタート(小中一貫校型学校化も視野に)。
- 高島平団地: 大規模な再開発ロードマップが示される。
- 成増マーケット: 南口の象徴的なスポットも取り壊しが予定。
- 豊渓中学校:建物老朽化や学級数の見通しを踏まえ廃校に向けて検討が進む。
慣れ親しんだ味が消えてしまう寂しさあります。しかし、それは同時に、成増の街が次の半世紀に向けて新しく生まれ変わるステップでもあります。

数年後、この場所にどのような新しい風景が広がり、どんな新しい憩いの場が生まれるのか。寂しさを抱えつつも、私たちは街の大きな転換点に立ち会っています。

さいごに

10年、11年と続いたお店が閉まるのは、ひとつの時代の終わりを感じさせます。両店が閉店する前に一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
おまけ 福のから中板橋店

中板橋駅南口の階段を降りたところにある踏切脇の眼の前の建物が工事を行っていました。こちらに福のから中板橋店が2026年2月5日にオープンする予定です。



